|
医療事故情報
|
公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
|
|
|
| 報告年 | 発生曜日 | 曜日区分 | 発生時間帯 |
| 2019 | 土曜日 | 休日・祝日 | 10:00〜11:59 |
|
| 医療の実施の有無 | 事故の治療の程度 | 事故の程度 |
| 実施あり | 濃厚な治療 | 死亡 |
|
| 事故の概要 | 発生場面 |
事故の内容
|
| 治療・処置 | 実施 | その他の治療・処置の実施に関する内容 吸引分娩・圧出のガイドライン30分越え |
|
| 発生場所(複数回答可) | 関連診療科(複数回答可) | 患者の数 | 直前の患者の状態(複数回答可) |
手術室
分娩室
| 産婦人科
| 入院
1人
20歳代
(女性)
| 床上安静
薬剤の影響下
麻酔中・麻酔前後
|
|
|
|
| 当事者 | 当事者職種 | 職種経験 | 当事者部署配属期間 | 直前1週間の
当直・夜勤回数 | 勤務形態 | 直前1週間
の勤務時間 | 専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格 |
| 1人
| 医師 | 11年2ヶ月 | 2年6ヶ月 | 2回 | 交替勤務なし | 50 | |
|
| 特に報告を求める事例 | 発見者 | 治療・処置の種類 |
| 本事例は選択肢には該当しない | 当事者本人 | 経膣分娩 |
|
|
|
|
医療材料・諸物品等1 |
【販売名】 なし
【製造販売業者】 なし
【購入年月】 なし
|
|
| 事故調査委員会設置の有無 | 発生要因(複数回答可) |
| 既設の医療安全に関する委員会等で対応 | 確認を怠った
報告が遅れた(怠った)
記録などに不備があった
連携ができていなかった
患者への説明が不十分であった(怠った)
勤務状況が繁忙だった
患者側
|
|
| 事例概要 |
【実施した医療行為の目的】
前期破水のため入院、微弱陣痛のため陣痛強化。児心音低下あり吸引・圧出を実施後、帝王切開。
【事故の内容】
4:03、前期破水のため入院。
10:25、微弱陣痛のため陣痛強化。
11:00、児心音の低下、分娩室到着。診察し、子宮口全開、St+2であったため吸引分娩の適応は満たしていると主治医は判断。心音異常のため急速遂娩が必要と考えた。別患者が帝王切開中で当患者の帝王切開はすぐにはできないと考えた。子宮口が全開し、児頭下降が進んだ状態での帝王切開には膣壁損傷・子宮動脈損傷のリスクがあり、児を出しにくく、一人で行うにはリスクが高い。また、帝王切開よりも吸引圧出の方が早いと考えたので、吸引カップ(キウイ)の準備を行い、吸引・圧出を行うことを説明した。
11:06、1回目吸引、クリステレル実施。
11:12、2回目吸引、クリステレル実施。児心音90bpm台から120〜140bpm台へ回復。
11:16、3回目吸引、クリステレル実施。児心音80bpm台まで低下するが1分後には150bpm台に回復。→St+3まで下降あり。
11:20、助産師Aにより小児科医に状況報告・酸素チューブ接続。
11:22、吸引はせず、いきむ。児心音70〜100bpm台まで低下するも160bpm台まで回復した。
11:24、吸引はせず、いきむ。児心音70〜100bpm台まで低下するも160bpm台まで回復した。→St+4まで下降あり。児頭下降は順調にみられており、吸引を続けることにした。
11:27、4回目、吸引クリステレル実施。80bpm台まで低下したのち120bpm台まで回復。
11:33、5回目吸引、クリステレル実施。→発露(St+5以上)に到った。分娩間近と思われた。
11:34、児心音60bpmまで低下。
11:38、グレードA宣言を行った。
11:54、執刀開始。準備は非常にスムーズに行うことができた。
11:57、児娩出。子宮下部横切開を行った。助産師Bが児頭を経腟的に押し上げてくれたが、頭部の下に手が入らず臀部からの娩出となった。
【事故の背景要因の概要】
1.休日(土曜日)、事象発生時、診療科では別患者の帝王切開の手術中という産科医師の少ない状況下で陣痛促進剤で陣痛強化を行い、吸引・圧出を実施した(吸引5回・圧出7回)。
2.主治医は上級医が帝王切開中だったことで帝王切開は不可能と判断した。陣痛促進剤を使用すること、帝王切開の可能性が高いことの報告、相談ができていなかった。
3.何らかの遺伝的素因で胎児が低酸素状態のストレスに弱く、急激に悪化した可能性がある(患者の母も分娩時の胎児心音異常を認め、死産となった既往がある。このことは分娩前には医療者側に伝えられていなかった)。
4.主治医から患者にのみ説明し(診療録への記載はない)、患者は頷いていたが立ち会い分娩でそばにいた夫、実母への説明ができていない。
【改善策】
1.陣痛促進剤を使用することにより急変する可能性が高いため、当該事例のように別患者の帝王切開中で医師の人員が確保できない場合、待つことができるなら使用しない。
2.報告・連絡・相談:陣痛促進剤を使用すること、帝王切開になる可能性があることを上級医に報告する。
3.主治医は帝王切開を並列で実施することが不可能と判断せず、相談する。
4.当該医師においては夜間休日はリスクの高いこと(分娩誘発、吸引分娩、クリステレル圧出)はなるべく行わないようにする。吸引・圧出はいずれも医師が行う。吸引分娩は3回までの実施として(ガイドラインは5回だが)、娩出困難と判断すれば早めに帝王切開に切り替える。
5.ICについて:吸引分娩5回実施後の状況は患者にとって負担が大きく、冷静に判断することは難しい。患者のみでなく家族へも説明すべき必要があった。
|
|
|