医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDABAE1B52EED656963
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2020木曜日平日10:00〜11:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療障害残存の可能性がある(高い)
事故の概要発生場面 事故の内容
薬剤オーダリングによる処方箋の作成処方忘れ
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
外来診察室
リウマチ科
外来
1人
60歳代 (女性)
疾患名強皮症
慢性心不全
適応障害
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師22年2ヶ月12年3ヶ月0回交替勤務なし48内科認定医 リウマチ専門医
特に報告を求める事例発見者薬剤・製剤の種類
本事例は選択肢には該当しない同職種者その他 副腎皮質ステロイド内服薬
当事者以外の関連職種(複数回答可)
医師
関連医薬品1
【販売名】 プレドニン5mg
【製造販売業者】 塩野義製薬
関連医薬品2
【販売名】 プレドニゾロン1mg
【製造販売業者】 旭化成
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
その他 内部調査委員会を実施、院外の専門家の意見を聞き調査委員会に提示し検討を行った。確認を怠った
勤務状況が繁忙だった
事例概要
【実施した医療行為の目的】
強皮症治療のためプレドニゾロンが投与されていた。投与量を6mgから5mgへ減量予定であった。
【事故の内容】
10年前に強皮症と診断され、近医でプレドニゾロンによる加療開始。2年数ヶ月前に当院に紹介され治療を継続していた。
プレドニゾロン投与量を漸減しており、29日前に7mgから6mgへ減量、今回○月、6mgから5mgへ減量して処方しようとして、担当医(当事者)は、処方を忘れていた。その後も患者は、1〜2週間ごとに受診し投薬が行われていたが、担当医はプレドニゾロンの処方忘れに気付かなかった。プレドニゾロン内服が中断して約2ヶ月後に買い物中に意識消失し当院へ救急搬送され1泊入院となったが、プレドニゾロンの処方忘れには気が付かれなかった。処方忘れから約100日後、胸痛、食思不振、倦怠感の訴えがあり、当院へ救急搬送され救急救命センターへ入院となった。その時の担当医がプレドニゾロン減量とカルテに記載されているが○月から処方されていないことに気付いた。急性副腎不全が疑われヒドロコルチゾンの投与が行われた。治療によりプレドニゾロン5mg内服まで減量することができた。その後、心不全等の状態が悪化し、徐々に多臓器障害が進行し死亡退院となった。
<○月の14日前の処方内容>
1.
サイザル錠 5mg 1錠、タケキャブ錠 10mg 1錠、モンテルカスト錠 10mg「KM」 1錠
1日1回 夕食後 14日分
2.
トコフェロールニコチン酸エステルcap200mg「サワイ」 3cap(1回1cap)、モサプリドクエン酸塩錠 5mg「EE」  3錠(1回1錠)、ミヤBM細粒 3g(1回1g)、ビオフェルミン配合散 6g(1回2g)
1日3回 食後   14日分
3.
メインテート錠 2.5mg 1錠、ワンアルファ錠 0.5μg 1錠、チラージンS錠 50μg 1錠、エナラプリルマレイン酸塩錠5mg「ファイザー」 1錠、アテレック錠 10mg 1錠、★プレドニン錠 5mg 1錠
1日1回 朝食後   14日分
4.
サムスカ錠 7.5mg 2錠、ダイアート錠 60mg 1錠、スピロノラクトン錠25mg「TCK」1錠
1日1回 朝食後   14日分
5.
プラザキサcap 110mg 2cap(1回1cap)
1日2回 朝夕食後  14日分
6.
★プレドニゾロン錠 1mg(旭化成)1錠
1日1回 昼食後   14日分
※1〜6の処方を自動錠剤分包(散剤、細粒の薬剤は分包内には入らない)
7.
フラジール錠 250mg 4錠(1回1錠)
1日4回 食後と寝る前 14日分
8.
ロキソプロフェンNaテープ100mg「科研」 3袋(1日4枚使用)
全量
<精神科からの処方>
1.
トラゾドン塩酸塩錠 25mg「アメル」 2錠、レメロン錠 15mg 1錠、フルニトラゼパム錠 1mg「アメル」 2錠、ブロチゾラムOD錠 0.25mg{サワイ} 1錠
1日1回 寝る前   28日分
<処方忘れがあった日の処方内容>
・★のプレドニン錠、プレドニゾロン錠を削除
・1〜5,7(4のダイアート錠が1錠⇒0.5錠へ変更)の処方に加え、パンビタン末 1g 1日1回夕食後 14日分が追加
・消化器内科から以下を処方
ロペミンcap 1mg  1cap  内服頓用 10回分、協力ポステリザン軟膏 2g 10本  全量
【事故の背景要因の概要】
・外来担当医は、プレドニゾロンを6mg(プレドニン錠5mg、プレドニゾロン錠1mg)から5mg(プレドニン錠5mg)へ減量して処方する際に、前回処方をコピーし、プレドニゾロン錠1mgのみを削除するところ、誤ってプレドニン錠5mgも同時に削除した。
・当患者の処方は院内薬局で調剤されたので、調剤時に薬剤師による前回処方との照合は実施されておらず、プレドニゾロンの処方漏れに気付かなかった。
・当患者の処方は、プレドニゾロンを除いて21種類(外用薬1種類除く)有り、患者は、処方忘れに気付かなかった。
・プレドニゾロン5mg以下の減量の予定はなかった。
・ステロイド非投与に伴って副腎不全が生じたが、入院時の濃厚な治療により病状は回復することができた。しかし、強皮症に伴って併存している心不全、腎不全、腸管障害などの多臓器障害の自然経過としての進行、増悪に起因し死亡に至った。
・外部の専門家の意見は、当患者にステロイド非投与であっても平時では問題なかったと思われるが、下痢をきっかけとした脱水等のストレスに対して、併存している腎機能障害、心不全などもあり、コルチゾール動員による抗ストレス対応が追い付かなかった可能性がある、というものであった。
・院外処方率は、事例発生年度:86.9%、翌年度:91.1%、翌々年度:92.0%である。
【改善策】
・外来患者の処方は院外処方とし、薬剤師による薬歴の照会が受けられるようにする。
・長期投与を行っている薬剤の処方が中断した場合に、アラートが出る仕組みを医療情報部と検討を行ったが、有効な方法は見つからなかった。
・外来患者の院内処方・院外処方の選択基準について以下に記載する。
1)例外対応による院内処方について
次の項目に該当する場合は院内処方とする。
本院入院中の患者への処方(入院患者が他の診療科を受診した時の処方)
i)18時以降の処方及び土日祝日の処方
ii)保険の都合により院外処方ができない場合。交通事故、委託(警察関係等)、移植患者のドナー、他病院に入院中の患者
iii)院内製剤、治験薬、検査薬、試薬及び保険適用外での処方
iv)レブラミド、サレド(サリドマイド)及びポマリストなど調剤可能施設が限定されている薬
※患者理由によるものは認められない。
2)特別な事情により院外処方が困難な場合について
特別な事情により院外処方が困難な場合については、院内処方許可申請書を提出する。