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医療事故情報
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公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
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| 報告年 | 発生曜日 | 曜日区分 | 発生時間帯 |
| 2018 | 月曜日 | 平日 | 20:00〜21:59 |
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| 医療の実施の有無 | 事故の治療の程度 | 事故の程度 |
| 実施あり | 濃厚な治療 | 死亡 |
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| 事故の概要 | 発生場面 |
事故の内容
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| 治療・処置 | 管理 | その他の治療・処置の実施に関する内容 手術部位上位血管解離 |
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| 発生場所(複数回答可) | 関連診療科(複数回答可) | 患者の数 | 直前の患者の状態(複数回答可) |
病室
| 心臓血管外科
| 入院
1人
70歳代
(男性)
| その他特記する心身状態あり 手術後
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| 疾患名 | 下行大動脈破裂
| 急性大動脈解離
| 腹部大動脈瘤
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| 当事者 | 当事者職種 | 職種経験 | 当事者部署配属期間 | 直前1週間の
当直・夜勤回数 | 勤務形態 | 直前1週間
の勤務時間 | 専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格 |
| 1人
| 医師 | 10年1ヶ月 | 5年1ヶ月 | 2回 | その他 待機勤務あり | 96 | |
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| 特に報告を求める事例 | 発見者 | 治療・処置の種類 |
| 本事例は選択肢には該当しない | 当事者本人 | 気管挿管 |
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医療材料・諸物品等1 |
【販売名】 トランクイブシラテラルレッグ
【製造販売業者】 ジャパンゴアテックス
【購入年月】 2018年4月
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医療材料・諸物品等2 |
【販売名】 エゴイストエンターベンショナルガイドワイヤーJカーブ260
【製造販売業者】 メディコスヒラタ
【購入年月】 2018年4月
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| 事故調査委員会設置の有無 | 発生要因(複数回答可) |
| 既設の医療安全に関する委員会等で対応 | その他 予測以上の合併症
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| 事例概要 |
【実施した医療行為の目的】
腹部大動脈瘤手術
【事故の内容】
腹部大動脈瘤に対するステント手術終了から約10時間後、心肺停止状態となり、その2時間半後に死亡した。多発性嚢胞腎症、ステロイド、免疫抑制剤投与中で、環軸椎亜脱臼も併存しており挿管時頸椎損傷の危険性があることから、人工血管置換術ではなく、局所麻酔下にステンドグラフト内挿術の方針とした。8時35分に手術室入室EVAR(Excluder C3)施行、血管造影レントゲンにて解離の所見はなく11時37分に退室した。手術は予定通り終了し病棟へ帰室した。16時、看護師と共にトイレ歩行するが疼痛やふらつきなし。夕方家族と談笑していた。21時30分頃に背部痛を訴え直後意識消失し、心停止となった。すぐにCPR開始するが、反応乏しくレントゲンや経食道エコー所見より下行大動脈の破裂と考えられた。気管挿管、心臓マッサージにも反応無くすぐにICU入室。PCPS導入するが流量維持できなかった。レントゲン上縦隔の右方転移、肺野陰影低下あり。TEE上、下行大動脈の解離所見があり、下行大動脈の破裂と考えられた。左胸腔にドレーンを挿入すると、血性胸水が多量に引けた。ICU入室時より瞳孔散大しており、1時間以上のCPRにも反応ないため、死亡確認した。死因;破裂性急性B型大動脈解離。
【事故の背景要因の概要】
本症例は、関節リウマチでステロイド内服中で、間質性肺炎、頸椎亜脱臼、多発性嚢胞腎症など併存症を持ち極めてハイリスクな症例であった。特に、ステロイドの内服、多発性嚢胞腎は大動脈解離の危険因子であり、このような症例に対するステント内挿術は議論となることも有る。しかしながら、本症例は頸椎亜脱臼、間質性肺炎などの併存症があり全身麻酔自体も極めてハイリスクと考えられ、局所麻酔下に行えるステントグラフト内挿術が適応と考えられた。
病理解剖結果:大動脈はステロイド内服によると考えられる粥状硬化、潰瘍性病変著明で下行中部の潰瘍性病変をエントリーとした鎖骨下動脈以遠より、腎動脈レベルまでの解離所見あり。ステントグラフト中枢側まで解離は及んでいなかった。そのため、元々多発性嚢胞腎で脆弱な大動脈に、ステロイド内服に伴う高度粥状効果をきたし、ステントグラフト内挿術による侵襲が加わったことで解離を引き起こし、リエントリーが出来なかったことで偽腔に急激に圧が加わり破裂をきたした。
【改善策】
1.腹部ステントグラフト内挿術中の操作で下行大動脈内に留置したワイヤー先端は死角となるため、先端で元来あった潰瘍性病変に刺激を与えた可能性は否定できない。そこで、最近市販されたワイヤーの先端の柔らかい部位がより延長されたワイヤーに変更する。
2.本症例を含め、これまでに当院でも約300例中5例(1.67%)の腹部ステントグラフト内挿術中又は術後に大動脈解離を発症した症例があり、そのうち3例は症状が背部の違和感のみで通常の大動脈解離発症時の症状とは異なり、症状で判断することは困難なことも多い。今後は、術後患者から背部痛や背部の違和感の訴えがあったときは積極的に画像検査(CT)を行う。
3.これまで腹部ステントグラフト内挿術症例におけるICU入室基準は80歳以上としていた。今後は術前カンファレンス時、または、手術日の朝のカンファレンス時に入室するかを全体で決定する。
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