医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDAB6BDE1BF53E9C515
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2017金曜日平日22:00〜23:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療障害残存の可能性がある(高い)
事故の概要発生場面 事故の内容
薬剤末梢静脈点滴その他の与薬に関する内容 与薬後の心肺停止
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
病室
外科
入院
1人
80歳代 (男性)
疾患名中部胆管癌
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師16年1ヶ月5年1ヶ月0回交替勤務なし40
特に報告を求める事例発見者薬剤・製剤の種類
本事例は選択肢には該当しない他職種者その他 向精神薬
当事者以外の関連職種(複数回答可)
医師
看護師
関連医薬品1
【販売名】 ロヒプノール静注用2mg
【製造販売業者】 中外
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
既設の医療安全に関する委員会等で対応判断を誤った
知識が不足していた
教育・訓練
ルールの不備
事例概要
【実施した医療行為の目的】
術後せん妄に対する鎮静
【事故の内容】
中部胆管がんの患者に対し、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術及び肝(S4)部分切除術を実施した。術後の経過は良好であり、翌日に抜管した。やや術後せん妄状態があり、術後2日目に一般病棟に退室した。日中家族の面会があり落ち着いていたが、家族が帰宅後の22:40頃、担当看護師が病室前を通りかかると転倒防止のセンサーが作動しており、当該患者がベッド柵を外し、起立しようとしているのを発見した。患者は「家に帰る」と言い、安静の保持が困難な状態であった。このため、22:50、担当看護師が不穏時指示のセレネース5mg、ロヒプノール2mg、生食100mLを100mL/hの速さで滴下開始した。23:08、担当看護師が訪室すると、いびき様の呼吸をしている患者を発見し、点滴の滴下を中止した。すぐにペア看護師に報告し訪室すると、呼名反応が無く、深呼吸様の呼吸をしており、橈骨動脈を触知できない状態であった。医師に報告後すぐに来棟あり、間欠的陽圧換気を開始した。またAED装着時、「ショック不要」であった。心拍:50回/分、自発呼吸:5回/分であり、エマージェンシーコールとした。23:13、心停止となるためアドレナリン2回静脈注射を行い、胸骨圧迫開始、気管挿管後に心拍は再開し、循環動態も改善した。0:15、頭部CT撮影後、ICU入室となる。その後時折開眼はあるが、意識の回復は無く、夜間から痙攣重責発作が出現した。このためジアゼパム静注後、昇圧剤を併用しながらミダゾラムの持続注入を開始した。以後明らかなけいれん発作はなく、4日後にミダゾラム及び昇圧剤を中止した。また、11日後にフェノバールの内服を中止したが、明らかな意識レベルの回復が無く経過している。
【事故の背景要因の概要】
1.適正な使用方法ではなかった。ロヒプノール注射薬による呼吸抑制等による死亡事例の報告があり、使用の場合は、救命処置の準備、呼吸・循環動態の継続的な観察が必要であった。一般病棟ではこれらの体制を整えることが困難であるが、病棟退室時に不穏時の指示が出されていた。当該患者は小柄な体格であること、高齢者であること、肝予備能の低下があったこと、術後2日目であり脱水状態があった可能性があることからより効果が発現しやすい状態にあった。
2.指示受け・実施者の知識不足。重篤な副作用を発現する可能性がある薬剤の指示受け、与薬が行われ、十分な観察ができていなかった。
【改善策】
1.一般病棟でのロヒプノールの使用禁止。十分な観察及び迅速な対応が困難であることが予測される一般病棟での使用を禁止する。やむを得ず、一般病棟で使用する場合、医師が与薬し、投与中から投与後の観察を行うことをルールとする。
2.医師からの指示受け、与薬時には使用目的、注意事項を正しく理解し、指示受けや与薬を行う。疑義がある場合は必ず照会することを繰り返し指導する。