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医療事故情報
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公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
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| 報告年 | 発生曜日 | 曜日区分 | 発生時間帯 |
| 2010 | 木曜日 | 平日 | 12:00〜13:59 |
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| 医療の実施の有無 | 事故の治療の程度 | 事故の程度 |
| 実施あり | 濃厚な治療 | 障害残存の可能性がある(高い) |
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| 事故の概要 | 発生場面 |
事故の内容
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| 治療・処置 | 実施 | 不必要行為の実施 |
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| 発生場所(複数回答可) | 関連診療科(複数回答可) | 患者の数 | 直前の患者の状態(複数回答可) |
手術室
| 婦人科
| 入院
1人
20歳代
(女性)
| 麻酔中・麻酔前後
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| 当事者 | 当事者職種 | 職種経験 | 当事者部署配属期間 | 直前1週間の
当直・夜勤回数 | 勤務形態 | 直前1週間
の勤務時間 | 専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格 |
| 1人
| 医師 | 12年0ヶ月 | 2年0ヶ月 | 2回 | 交替勤務なし | 80 | 産婦人科認定医 |
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| 特に報告を求める事例 | 発見者 | 治療・処置の種類 |
| 本事例は選択肢には該当しない | 他職種者 | 開腹 |
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医療材料・諸物品等1 |
【販売名】 ダーマボンド
【製造販売業者】 ジョンソンアンドジョンソン
【購入年月】 不詳
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| 事故調査委員会設置の有無 | 発生要因(複数回答可) |
| 既設の医療安全に関する委員会等で対応 | 確認を怠った
判断を誤った
知識が不足していた
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| 事例概要 |
【実施した医療行為の目的】
閉創後、ダーマボンドの薬液が流れないようにヘアドライヤーを用いて乾燥させた。
【事故の内容】
患者は貧血の原因となっていた子宮筋腫の治療のために入院。全身麻酔下の腹式子宮筋腫核出術を行った。腹膜、筋膜をそれぞれ縫合した時点で執刀医は退室。その後、皮下組織と真皮をそれぞれ縫合し腹壁を閉創した。
stitch markが残らないように表皮は医療用接着剤であるダーマボンドで2層に被覆閉創した。まず、10cm程度の皮膚正中切開創を覆うようにペン型塗布器を用いてダーマボンドを創面および周囲0.5cmに塗布。長さ2cmまでの腹腔鏡手術のポート創と比較して塗布量が多く、自然乾燥には時間を要することから、外回り看護師が当事者の指示及び清潔操作者の注視下に手術室常備のヘアドライヤーで創部から1mほどの距離から塗布表面のダーマボンドの液流れがなくなる程度まで温風を送風した。1分未満の操作と考えるが正確な時間は不詳であり、送風された皮膚面温度は確認できていない。
その後、1層目の塗布面を縁取るように2層目を塗布し、当事者の指示にて助手が50cmほどの距離から温風ドライヤーで風乾した。送風の間、当事者は後方で術後口頭指示を行いつつ乾燥具合をたびたび目視し、被膜が完成したのを確認して送風を終了させた。送風時間は2分ほどと考えるが同様に正確な時間は不明で、皮膚温の確認はできていない。
全身麻酔下であったため、患者から疼痛表示は確認できず。麻酔覚醒後、病棟に帰棟。手術場看護師から創周囲の発赤について指摘があったが、しばしば術後一時的に観察されるイソジン消毒かぶれによる発赤が術野外に見られ、それらと熱傷の判別がつかずなかった。1時間半後に病棟看護師から創周囲の発赤持続を指摘され、頻回な経過観察を依頼し、2時間後に当事者も確認。その後、助手の指示で同部位の冷罨を開始したが、3時間後には創周囲に水庖形成も出現したため、皮膚科医当直医に往診を依頼した。
皮膚科医往診にて後に瘢痕を残すほどではない、II度の熱傷と診断され、デルモベート軟膏塗布と冷却で対処するよう指示を受けた。夜間疼痛あり、ロピオン注を投与した。術翌日にも皮膚科医が往診。小児頭大の熱傷範囲内の水庖処置を受け、デルモベート軟膏と冷却の継続指示あり。
術後数日目に再度皮膚科医往診あり、患者から治癒見込みを問われ完全には元通りにはならないと説明。その翌日より、皮膚科創傷ケアチームの医師に一貫した担当を依頼。急性炎症期を過ぎつつあり被覆材を用いた治療を開始され、色素沈着防止にビタミンCを投与。皮膚科創傷ケアチームの定期的な往診指導下に被覆材型を変えながら創傷処置を継続。
診察で上皮化したような所見あり、瘢痕には至らず色素沈着も目立たないのではないかというその時点での皮膚科見解を伝えた。しかし、その後から浸出液と創部痛の増加あり、術後10数日目の診察で初めて熱傷壊死が真皮に及んでいると想像される白色化した組織が確認され、被覆材を変更した。
術後約20日目には壊死部分がさらに顕在化し疼痛も増していたため、同日から壊死組織の融解脱落を促し疼痛緩和が見込める被覆材に変更した。以後、連日の被覆材交換を行った。黄色変色した壊死部分が島状に癒合し壊死境界が明瞭になり、比較的低温の熱傷が深部に及んでいると診断された。
術後約3週間目に患者に状態を説明した。連日の創傷ケアにより壊死部は次第に脱落が進むも、治療がさらに長期化することが予想され、当初の予想を上回る3度熱傷部が混じっている見込みとなった。
以後は連日外泊しながら通院して創傷処置を行うこととし、壊死部脱落が進んだ日(約1ヵ月後)以降、皮膚科創傷ケアチームの医師指導下に被覆材・塗布薬剤を変更した。被覆材・塗布薬剤の変更に伴い壊死部脱落は進むも、変更後の薬剤により疼痛は増強し、鎮痛剤の併用を試みた。
壊死部の脱落が進んだことから疼痛刺激の少ない被覆材に変更し、今後も経過観察の予定である。
【事故の背景要因の概要】
不完全乾燥に伴う創傷感染を危惧し、ヘアドライヤーを使ったことで熱傷につながった。ヘアドライヤーはもともと人体に使用するものではあるが、腹壁表皮は毛髪に覆われた頭皮よりも弱く一層の注意が必要であった。ヘアドライヤーでの乾燥は他施設でも行われており、当該診療科でもこれまでに何度か行った中で熱傷はなかった。
【改善策】
・ダーマボンド使用時には、団扇で仰ぐなど熱傷の危険のない処置を行う。
・全身・局所を問わず麻酔下で温痛覚のない部位へのドライヤーの使用は避ける。
・洗浄などで温めた生理食塩水を注ぐ際には毎回温度を体感し確認する。
・医療器具・材料の適切な使用を徹底する一方で、改良を目指して試験的な使用を行う際にはまずは科内で適否を諮り、手術や投薬など人体に直接侵襲が予想される場合には、院内の倫理委員会に積極的に図ることでより一層患者の安全を担保するよう努める。
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