医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDA87188353E1A83503
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2019日曜日休日・祝日8:00〜9:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療死亡
事故の概要発生場面 事故の内容
治療・処置管理治療・処置の管理
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
病室
呼吸器外科
入院
1人
80歳代 (男性)
意識障害
疾患名右肺下葉癌術後
心房細動
高血圧
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師23年7ヶ月6年3ヶ月1回交替勤務なし100呼吸器外科専門医
特に報告を求める事例発見者治療・処置の種類
本事例は選択肢には該当しない同職種者開胸
当事者以外の関連職種(複数回答可)
看護師
医療材料・諸物品等1
【販売名】 なし
【製造販売業者】 なし
【購入年月】 なし
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
既設の医療安全に関する委員会等で対応患者側
事例概要
【実施した医療行為の目的】
右下葉S6に肺癌を認め腫瘍の摘出を目的に手術を施行した。
【事故の内容】
1.心房細動、高血圧、慢性心不全、多血症で近医通院中。
2.2年3ヶ月前に血痰出現したため精査を行い、右下葉S6に肺癌を疑う3cm大の腫瘤影を認めた。
3.2年1ヶ月前、気管支鏡検査施行したが確定診断が得られず、その1ヶ月後に診断目的で手術を考慮したが、腫瘍が縮小しているため中止した。その後も若干の増大と縮小を繰り返していた。
4.2ヶ月前、他院にてCTガイド下針生検を施行し、肺癌の診断を得たため当月入院となる。術前は、心房細動に対してイグザレルト10mg内服していた。○月6日より中止(手術のため)。
5.○月7日、右下葉肺癌に対し、縮小手術として胸腔鏡下右肺下葉S6区域切除+リンパ節郭清術を施行した。呼吸機能、併存疾患、年齢を考慮し縮小手術とした。
6.術後からやや不穏症状あり、○月9日には誤嚥性肺炎を併発し、絶飲食としてミニトラックを挿入、中心静脈栄養を開始し、術後肺の問題が無く胸腔ドレーンを抜去した。
7.○月8日よりヘパリン5000単位/日投与開始する。
8.○月19日まで誤嚥性肺炎は軽快傾向を示していた。意識状態も術前と変わらない状態に改善した。
9.○月16日に嚥下評価を行い、内服、経口摂取再開。誤嚥も無く、イグザレルトの内服も再開したことから17日よりヘパリンを中止した。
10.○月19日の就寝時まで通常と変わらないところを確認していた(トイレコールがあり付き添い歩行でトイレまで行くことができた)。
11.○月20日8:00、患者が起きてこないため、看護師が確認すると意識障害がある為、当直医師にコールした。当直医師が診察の上、脳梗塞と判断し、脳CT、脳MRI施行し、多発性脳梗塞が判明した。呼吸状態、循環状態は保たれているが意識の回復なし。
12.神経内科医師にコンサルトしたところ、橋梗塞による四肢麻痺、球麻痺で、眼球の上下運動と瞬きを認める。
13.ヘパリン(18000単位)療法を開始する。血圧コントロールのためビソノテープ8mg/日からペルジピンに変更しコントロール開始する。
14.神経内科コンサルトの結果、橋梗塞があり四肢麻痺は改善しない可能性が高いこと、舌根も落ちているため誤嚥による肺炎を繰り返す可能性が高いと診断され、家族に気管切開、PEGを造設するか確認をした。
15.家族は、気管切開、PEGを造設、延命治療を希望されなかった。
16.○月23日、発熱継続し、口腔内の唾液の貯留が多く吸引にて対応する。
17.○月24日、神経内科医師と、脳浮腫は1週間から10日後頃がピークで、出血などが起こった時に中止し易いヘパリン管理を継続し、その後イグザレルトに移行する方針としていた。
18.○月25日19:15、Spo2:94%。22:15、T37.6、Bp118/87mmHg、HR112。
19.23:10、Spo2:89%。痰吸引後、Spo2:90%、酸素15Lに増量する。  
20.23:50、Spo2:85%まで低下し主治医コールする。その後HRモニター上0となる。その後、死亡診定する。
【事故の背景要因の概要】
1.術前より多血症を併存しており、術後脳梗塞発症のリスクは高かった。
2.術後誤嚥性肺炎を併発したことで、イグザレルト10mg(抗凝固薬)の開始時期が遅くなった。誤嚥性肺炎の治療をして嚥下評価後の内服開始となる。
3.その間ペパリンを投与していたが、術後であるため出血リスクを考慮し控えめに使用していた可能性あり。
【改善策】
心房細動のある患者に対する術後管理で、抗凝固薬による血栓予防の効果と術後出血のリスクを考慮し、注意深くコントロールする。