医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDA6E2E3328F831FF7F
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2020火曜日平日10:00〜11:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療障害なし
事故の概要発生場面 事故の内容
薬剤口頭による処方指示処方量間違い
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
病室
呼吸器内科
入院
1人
70歳代 (男性)
床上安静
その他特記する心身状態あり 酸素下及び意識レベル低下
疾患名肺がん
アスペルギルス膿胸
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師7年7ヶ月1年7ヶ月0回交替勤務なし40
2人 医師5年7ヶ月1年3ヶ月不明その他 不明不明
特に報告を求める事例発見者薬剤・製剤の種類
本事例は選択肢には該当しない当事者本人循環器用薬
当事者以外の関連職種(複数回答可)
医師
看護師
薬剤師
関連医薬品1
【販売名】 ノルアドリナリン注1mg
【製造販売業者】 アルフレッサファーマ
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
既設の医療安全に関する委員会等で対応確認を怠った
記録などに不備があった
判断を誤った
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
教育・訓練
仕組み
事例概要
【実施した医療行為の目的】
血圧低下に対するノルアドリナリン投与。
【事故の内容】
・右下葉肺癌術後、気管支断端瘻、アスペルギルス膿胸、吸引性肺炎に対し加療中。
・○月22日5時、体位変換及び吸痰後に酸素低下。呼吸状態の悪化、血圧低下、意識レベル低下を認め、ノルアドリナリン投与開始の方針となった。担当医Aが手術中であったため、他の医師Bよりノルアドリナリン注1mg3A+生食47mlとオーダーされ、口頭で0.05γで開始の指示がされた。看護師はカルテに、「医師より、指示簿指示に従いノルアドレナリン3mg+生食47ml。0.05γから開始の指示を受ける。」と記録を残した。
・10時12分、手術終了後、担当医Aが診察を引継ぎ、0.05γではなく0.1γで開始するよう指示された。担当医Aがシリンジポンプの流量を調節し投与開始された。以降、病状に合わせ0.3γまで増量したが、血圧60台を推移する状況であった。追加の薬剤投与は行わず外液負荷とNADで経過を見る方針となった。その後、死亡確認された。
・○月31日、当該患者の担当看護師が、たまたま自身が担当していた患者が亡くなったことを知りカルテを見返してた際、0.05γ=2.5ml/hであるところ、実施記録の欄には「0.2ml/hで開始」と記載されており、その後の増量の際にも、0.3γ投与されているべきタイミングで0.6ml/hへ増量と記載されており、実際に投与されていた量が過小投与であった可能性が発覚した。
<本事例で使用したシリンジポンプの型番、製造販売業者>
TE-331SON テルモ株式会社
【事故の背景要因の概要】
・担当医Aから同診療科の別医師Bへ口頭で投与指示が伝達され、医師Bがノルアドレナリン注の注射オーダーを入力した。薬液の組成からガンマ計算を、担当医Aは行っていない。開始設定流用が合っていることを前提に、増量されたため設定エラーに気づかなかった。
・手術から戻った担当医Aが0.05→0.1γへ増量するポンプ設定を変更する際、0.05γとして設定されていた流量0.1ml/hを、そのまま倍の0.2ml/hへ変更した(0.1γから正しい投与速度の計算をしていない)。
・ノルアドレナリンのガンマ計算の頻度は低く、不慣れであった。
・ノルアドレナリン投与について初期投与速度(流速)をまとめた「ICUオペ室繁用医薬品一覧表」という資料が電子カルテに保存されていたが、本事例では活用されていなかった。本事例に関わったスタッフはカルテに保存されていることを知らなかった。
・「ICUオペ室繁用医薬品一覧表」は、 電子カルテトップページの「掲示板」という、いろいろなマニュアル類を格納できる画面に格納されており、、誰でも閲覧できる体制にはなっていた。
・「ICUオペ室繁用医薬品一覧表」には、ノルアドレナリン注1mgの標準組成「3mg(3A)+生食47mL」、初回投与量「0.01γ」、体重別初回投与速度(例えば体重50kg:0.5mL/h)が記載されている。
・ハイリスク薬のシリンジポンプ投与は、ポンプ設定を2名でダブルチェックし開始する運用だが、担当医Aが自ら設定変更しシングルチェックでスタートしたため、ダブルチェックさていない。
【改善策】
・ICU・オペ室繁用医薬品一覧の院内周知。
・速度指示変更(特に開始時)の際は、最初から投与量・流量計算を行い、ダブルチェックで開始する(院内の運用ルールの順守)。