|
医療事故情報
|
公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
|
|
|
| 報告年 | 発生曜日 | 曜日区分 | 発生時間帯 |
| 2018 | 水曜日 | 平日 | 2:00〜3:59 |
|
| 医療の実施の有無 | 事故の治療の程度 | 事故の程度 |
| 実施あり | 軽微な治療 | 死亡 |
|
| 事故の概要 | 発生場面 |
事故の内容
|
| 治療・処置 | 管理 | 治療・処置の管理 |
|
| 発生場所(複数回答可) | 関連診療科(複数回答可) | 患者の数 | 直前の患者の状態(複数回答可) |
病室
| 消化器科
| 入院
1人
70歳代
(男性)
| 睡眠中
|
|
|
|
| 当事者 | 当事者職種 | 職種経験 | 当事者部署配属期間 | 直前1週間の
当直・夜勤回数 | 勤務形態 | 直前1週間
の勤務時間 | 専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格 |
| 1人
| 医師 | 17年10ヶ月 | 5年6ヶ月 | 1回 | その他 裁量制 | 50 | 日本耳鼻咽喉科専門医 |
|
| 特に報告を求める事例 | 発見者 | 治療・処置の種類 |
| 本事例は選択肢には該当しない | 当事者本人 | その他の手術 喉頭全摘術・両側頸部郭清術 |
|
|
|
|
医療材料・諸物品等1 |
【販売名】 該当なし
【製造販売業者】 該当なし
【購入年月】 該当なし
|
|
| 事故調査委員会設置の有無 | 発生要因(複数回答可) |
| 既設の医療安全に関する委員会等で対応 | 連携ができていなかった
患者への説明が不十分であった(怠った)
判断を誤った
知識が不足していた
|
|
| 事例概要 |
【実施した医療行為の目的】
喉頭癌のため喉頭全摘、両頸部郭清、甲状腺全摘、両気管傍郭清術を施行したが、左網膜中心動脈閉塞を発生したが、その症状改善のためのゴールデンアワーが超過し保存的経過観察となった
【事故の内容】
手術施行:喉頭全摘、両頸部郭清、甲状腺全摘、両気管傍郭清術、手術時間:6時間、出血量:320mL、輸血量:RCC 560mL。
17:51、手術終了。
18:28、手術室退室。
18:40、半覚醒で病棟に帰室。
19:20、疼痛増強のためジクロフェナク25mg投与。
19:50、血圧190〜230台のためニカルジピン1A+生食100mLを30分で投与したが血圧の変動なし。170〜200台で経過していた。酸素2L/分投与しSPO2:96%以上で経過する。
23:30頃、当直医に報告。ニカルジピンの持続投与の指示あり。血圧値の指示にてニカルジピン投与量調整を行い経過観察した。
0:00頃、患者より背部痛の訴えあり。指示のロキソプロフェン(60)レバミピド(100)を1Tずつ内服。
翌日3:00頃、「左の目が見えない。右は見える。」と左視力低下を自覚。手動弁。疼痛の訴えなし。会話は可能であり、指示にも従うことも可能。意識レベルの低下なし。バイタルサインの著明な変動なし。妻が付き添いを行っており、妻から「手術の後は寝ていたので見えてたのかわかりません。今目が覚めて、見えないって言ってます。」と発言あり。看護師2名で左眼の視力の確認を行った。右眼をおさえて左眼で見てもらい、30〜40cm程離れた所で手を振るとわからず、目の前で手を振ると分かると返答あり。この時部屋の電気は入口の蛍光灯のみついていた。口話・ジェスチャーは可能であり、指示にも従うことができている。意識レベルの低下はない。この時のバイタルサインは、体温36.9℃、脈78回/分、呼吸回数21回/分、血圧184/91mmhgであった。著明な変動は無かった。術後より血圧が高値であり、ニカルジピンの持続投与を行っていた。この時流量を5mL/hから6mL/hに増量している。
5:00頃、担当看護師が患者のもとへ訪室。患者は入眠していた。血圧測定と点滴の確認を行った。呼吸回数は21回/分であった。
6:00頃、担当看護師が患者のもとへ訪室。入眠している。血圧測定を行った。呼吸回数は19回/分であった。
6:45頃、患者は覚醒しており、視力の確認を行うが患者より「変わらない。見えない。」と発言あり。視力の改善は認めなかった。当直医に報告・診察依頼した。
7:00頃、当直医により診察。診察時患者より「上下肢に力が入らない。」と訴えあり。診察後、当直医が眼科受診の依頼を行い、眼科受診予定となる。
9:40、眼科診察。眼科診断:左網膜中心動脈閉塞症。
10:40頃、眼科医師よりt-PA動注もしくは眼窩内局注を提案され、検討に入る。その後、放射線科医師と協議。脳神経外科病棟医長と協議。放射線科医師とIVRによるt-PA投与について相談:技術的には可能だが、発症後経過が長く治療効果が得られにくいことから望ましくないとのこと。脳神経外科医師に相談:発症後経過が長くMRIを見て新鮮脳梗塞の鑑別がまずt-PA投与には必要とのこと。
以上を踏まえ、まず新鮮脳梗塞の評価をMRIで優先することにし、眼科医師からの提案は保留とした。放射線科医師にMRIにつき相談し、至急撮影、評価することになった。
【事故の背景要因の概要】
<患者要因>
・患者は、下肢ステント挿入後から抗血栓薬を内服していた。手術のため、一旦中止になっており、血栓ができる可能性があった。また、8時間の手術を受けた直後であり、ベッド上安静であった。
<医療者要因>
・症状発生時の担当看護師は、経験1年未満の看護師で眼科疾患患者の経験が少ない。
・リーダー看護師は、看護師経験10年以上であり、四肢の麻痺や言語障害もないことから医師への報告は朝でよいと判断した。
・担当医師は、術前に心機能の評価を実施していたが、網膜中心動脈閉塞のリスクについては説明していない。
<チーム要因>
・リーダー看護師には、患者の症状について報告されていたが、他の看護師メンバーに情報を伝えていなかった。
<技術・ツール要因>
・眼科の症状出現時の対応について担当看護師、リーダー看護師共に慣れていない。
<業務要因>
・午前3時は巡視の時間であるが、比較的落ち着いている時間帯である。
<環境要因>
・重症個室に入室中。
・午前3時は消灯しており、周囲が暗く電気を付けて症状の確認をする必要があった。
<組織要因>
・夜間に医師を起こしてまで報告することに抵抗があった。
・手術前カンファレンスでは、症例の経過や病状、術式に関しては確認したが、それ以上の検討は行っていなかった。
・手術前説明時、脳梗塞等の説明していなかった。
【改善策】
<医師>
・症状発生時、眼科診察依頼をする。
・考えられる個別リスクについて説明を行い、院内の取り決めに順じて説明記録に記載する。
・網膜中心動脈閉塞症に関する知識を病棟スタッフ含めて皆で共有する(カンファレンス・勉強会開催検討)。
<看護師>
・患者の訴えに対しては、安易に判断せず、適切な対応をとる。
・患者の基礎疾患、内服等などから起こりうるリスクを予測し、症状出現時は必ず医師に報告する。
・患者の症状を経時的に観察し、スタッフ間で情報共有を行う。
|
|
|