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医療事故情報
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公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
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報告年 | 発生曜日 | 曜日区分 | 発生時間帯 |
2021 | 木曜日 | 平日 | 14:00〜15:59 |
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医療の実施の有無 | 事故の治療の程度 | 事故の程度 |
実施あり | 軽微な治療 | 障害残存の可能性がある(低い) |
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事故の概要 | 発生場面 |
事故の内容
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検査 | 実施中 | その他の検査の実施に関する内容 MRI装置に鉛の容器が引き込まれ患者が受傷した |
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発生場所(複数回答可) | 関連診療科(複数回答可) | 患者の数 | 直前の患者の状態(複数回答可) |
核医学検査室
| 循環器内科
| 外来
1人
70歳代
(男性)
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当事者 | 当事者職種 | 職種経験 | 当事者部署配属期間 | 直前1週間の
当直・夜勤回数 | 勤務形態 | 直前1週間
の勤務時間 | 専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格 |
1人
| 医師 | 5年11ヶ月 | 3年11ヶ月 | 1回 | 交替勤務なし | 98 | 認定内科医 |
2人
| 医師 | 8年11ヶ月 | 3年11ヶ月 | 0回 | 交替勤務なし | 80 | CVIT認定医
認定内科医 |
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特に報告を求める事例 | 発見者 | 検査の種類 |
本事例は選択肢には該当しない | 当事者本人 | MRI |
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当事者以外の関連職種(複数回答可) |
診療放射線技師
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医療機器等1 |
【販売名】 なし
【製造販売業者】 なし
【製造年月】 なし
【購入年月】 なし
【直近の保守・点検年月】 なし
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医療材料・諸物品等1 |
【販売名】 なし
【製造販売業者】 なし
【購入年月】 なし
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事故調査委員会設置の有無 | 発生要因(複数回答可) |
既設の医療安全に関する委員会等で対応 | 確認を怠った
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事例概要 |
【実施した医療行為の目的】
心筋虚血の評価目的にアンモニアPET-MRIを行った。
【事故の内容】
急性心筋梗塞に対して冠動脈ステントを留置した。残存する冠動脈狭窄による心筋虚血の程度を評価するため、アンモニアPET-MRI検査を予定した。患者はPET-MRI室に入り待機した。担当医は別室で核種の必要量をシリンジに吸い上げ、被爆防護のため鉛の容器に入れてPET-MRI室の前まで運び、PET-MRI室で患者に核種を静注することになっていた。担当医はPET-MRI室の前で着衣の中に金属がないことを確認したが、鉛の容器ごとPET-MRI室に入り、鉛の容器がMRI装置に引き込まれた。患者は足がMRI室の入り口に向く方向でMRI装置の中に仰臥位になっており、鉛の容器がMRIの台に当たった後、患者の左下腿、左手背・前腕に当たり、MRI装置に吸着された。この時核種は飛散しなかった。すぐに患者をMRI装置の外へスライドさせ、意識を確認、全身の観察、バイタルサインの確認を行った。意識清明でありバイタル異常もなかったが、左手背、左下腿外側に擦過傷、左前腕に腫脹を認めた。患者を救急外来へ移送し、全身CT、左上下肢のレントゲンを施行後、整形外科に紹介した。CT、レントゲンで左前腕に軽度の筋肉内血腫を認めたが、それ以外の部位に出血や骨折は認めなかった。擦過傷に対しては創傷被覆材を貼付し、左下腿、左前腕は冷却、挙上を行った。血液検査でも筋原性酵素の上昇や貧血の所見はなかった。打撲による痛みがあり、抗血小板薬を内服していたため、1泊入院で経過観察を行った。
【事故の背景要因の概要】
・注射器への核種の吸い上げと患者への投与が同一の医師であった。
・アンモニアを核種としたPET-MRI検査であり、アンモニアの半減期が短いため、核種を注射器で吸い上げた後に短時間で投与する必要があった。そのため、MRI室の入り口ドアを開けておいた。
・核種を準備した部屋は、PET-MRI検査室まで150mほど離れていた。
・患者に投与する放射線量が370mBqとなるように、400〜450mBq程度を注射器に吸い上げるが、今回の吸い上げたのが400mBqであった。そのため普段より短時間で投与するため、急いでMRI室へ移動した。その際に、MRI室の外に容器を置くのを失念してしまった。
・担当医は鉛容器を持ったまま急いで入室したので、他のスタッフが担当医の入室を阻止できる状況ではなかった。
・放射線技師はMRIのセッティングのため、MRI操作機器前でスタンバイしていたため、MRI室に入る医師を確認しなかった。
・患者用のチェックリストでは、除去物のリストとして、入れ歯、補聴器、指輪、経皮吸収型はり薬、ドレーンバッグ、酸素ボンベ、SpO2モニタなど具体的な記載があり、磁性体の持ち込みの有無を確認していた。
・PET-MRI検査室では、医療者側の磁性体の持ち込みの有無を確認していなかった。
・患者の入室時には、ハンディタイプの金属探知機を使用してるが、医療者側には使用していなかった。
【改善策】
・核種を準備する医師と、患者に投与する医師に担当を分け、MRI室内の担当医師に核種を吸い取った注射器のみを渡す。
・MRI室の外に放射線防護の容器を置いておく場所を目立つように設置する。
・MRI室のドアは閉めておき、金属持ち込み禁止の表示に気づけるようにする。
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