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医療事故情報
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公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
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| 報告年 | 発生曜日 | 曜日区分 | 発生時間帯 |
| 2021 | 火曜日 | 平日 | 16:00〜17:59 |
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| 医療の実施の有無 | 事故の治療の程度 | 事故の程度 |
| 実施あり | 軽微な治療 | 障害なし |
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| 事故の概要 | 発生場面 |
事故の内容
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| 薬剤 | オーダリングによる処方の変更 | 処方量間違い |
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| 発生場所(複数回答可) | 関連診療科(複数回答可) | 患者の数 | 直前の患者の状態(複数回答可) |
その他 病室、ナースステーション
| 麻酔科
| 入院
1人
40歳代
(女性)
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| 当事者 | 当事者職種 | 職種経験 | 当事者部署配属期間 | 直前1週間の
当直・夜勤回数 | 勤務形態 | 直前1週間
の勤務時間 | 専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格 |
| 1人
| 薬剤師 | 13年1ヶ月 | 1年0ヶ月 | 0回 | 2交替 | 44 | |
| 2人
| 医師 | 11年0ヶ月 | 9年0ヶ月 | 0回 | 交替勤務なし | 32 | 麻酔科専門医 |
| 3人
| 薬剤師 | 8年0ヶ月 | 1年0ヶ月 | 0回 | 交替勤務なし | 39 | |
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| 特に報告を求める事例 | 発見者 | 薬剤・製剤の種類 |
| 本事例は選択肢には該当しない | 当事者本人 | 循環器用薬 |
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関連医薬品1 |
【販売名】 リドカイン点滴静注液1%「タカタ
【製造販売業者】 1214404A2035
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| 事故調査委員会設置の有無 | 発生要因(複数回答可) |
| 既設の医療安全に関する委員会等で対応 | 確認を怠った
連携ができていなかった
判断を誤った
知識が不足していた
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる心理的条件下にあった
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| 事例概要 |
【実施した医療行為の目的】
慢性疼痛の治療
【事故の内容】
1)事例発生までの経緯(麻酔科):
元々、上腕から穿刺した中心静脈ポート造設時に電撃痛があり、その後も尺骨神経領域の痺れと痛みが残存したため、疼痛コントロール目的に当院紹介受診された患者。入院前のペインクリニック外来で下記注射薬が良く効いたことから、消化器外科入院中に患者希望にてペインクリニック外来で下記を投与することとなった。
Rp)リドカイン点滴静注用2%シリンジ(100mg/5mL) 1本大塚生食注 100mL点滴静注・末梢メイン 30分かけて
投与患者より「病棟で点滴治療ができないか」と相談があり、ペインクリニック医師から消化器外科医師に相談したが、「病棟での点滴治療は困難」と返答があり、患者に一旦外来に戻っていただいた。13:00頃、病棟看護師から「患者が病棟での投与を希望しているため、病棟オーダに変更してほしい」と再度相談があり、結果的に病棟オーダに変更して病棟で投与することとなった。14:20頃、病棟薬剤師から「当院採用にリドカイン点滴静注液1%「タカタ」があるので、そちらに変更して下さい」と連絡があり、処方を下記の通り変更した。
Rp)リドカイン点滴静注液1%「タカタ」(2g/200mL)1本点滴末梢メイン 30分かけて投与
17:00頃、消化器外科の回診時に、患者から「めまい、意識低下、呂律が回らない」の訴えがあり、リドカインの投与を中止し(リドカインは約50mL投与)軽快した。19:30頃、病棟薬剤師から消化器外科医師に「用量が多く点滴速度が速い(急速)状況でリドカインが投与された」と報告があり、患者の状態を確認し、モニタリング項目と痙攣時の対処(セルシン、フェノバール、ミダフレッサ、アレビアチン、脂肪乳剤等)を看護師・薬剤師と共有した。消化器外科医師から麻酔科医にも連絡し(ペインクリニック医師不在だったため)、モニターの装着、生食投与を指示した。局所麻酔薬中毒の治療薬である脂肪乳剤はアレルギーの既往があったため、症状も改善傾向であることから投与は見送った。翌日、医師・看護師・病棟薬剤師同席の元、患者にIC・謝罪した。IC当日退院予定であったが、頭痛とふらつきが残っているとの訴えがあったため、同週中の外来を予約し予定通り退院となった。
2)事例発生までの経緯(薬剤部):
13:10頃、看護師から病棟薬剤師に下記問い合わせがあった。看護師:「リドカインシリンジを希釈して点滴投与して良いか確認して欲しい」、病棟薬剤師:「希釈して30分かけて投与する所が添付文書と異なるのでDIに確認します」。13:30頃、病棟薬剤師からDI室に下記問い合わせを行った。病棟薬剤師:「リドカインシリンジを希釈して点滴投与して良いか?」14:16頃、DI室から病棟薬剤師に下記回答がなされた。DI室:「当院採用にリドカイン点滴静注液1%「タカタ」があり、そちらに変更して下さい」14:20頃、病棟薬剤師からペインクリニック医師に「当院採用にリドカイン点滴静注液1%「タカタ」があるので、そちらに変更して下さい」と連絡し、病棟看護師にも「リドカインシリンジは変更予定であるため、変更後のオーダを使用して下さい」と伝達した。17:00頃、物流管理室薬剤師から病棟薬剤師に「リドカインのオーダが2つ出ている、適応外使用か?」と確認の連絡があり、病棟薬剤師からDI室に適応外使用の申請状況を確認した。申請状況:リドカインは、難治性疼痛に対し社保で認められている。シリンジでの投与は、麻酔科で適応外使用が届け出され既に承認されている。バッグでの投与は、消化器外科で適応外使用が届け出され既に承認されている。再度処方を確認した際に、変更後の処方が「用量が多く点滴速度が速い(急速)」ことに気付き薬剤部管理者に報告(19:30頃)。病棟薬剤師、薬剤部管理者の2者で、消化器外科医師・看護師に報告。患者の状態を確認し、薬剤師と消化器外科医師でモニタリング項目と痙攣時の対処(セルシン、フェノバール、ミダフレッサ、アレビアチン、脂肪乳剤等)を共有した。翌日、医師・看護師・病棟薬剤師同席の元、患者にIC・謝罪した。IC当日退院予定であったが、頭痛とふらつきが残っているとの訴えがあり、同週中の外来予約を行って予定通り退院となった。
【事故の背景要因の概要】
(1)麻酔科
1)場所と内容の不備・ペインクリニック外来で看護師と医師がモニタリングの上使用している薬剤をモニタリングの指示をせずに病棟で施行した。
2)ペインクリニック外来での麻酔科医師のマルチタスキング・外来・往診患者数が多く、他患者対応中にかかってきた電話だったため内容を詳細に聞くことができなかった。
3)2名の患者対応を兼務・病棟看護師からオーダ変更を急ぐように連絡があり、他患者対応中に指示変更をしてしまった(投与速度や濃度の確認を怠った)。
4)口頭(電話)連絡による誤認・薬剤部からの変更依頼が正しいと誤認してしまった。
5)遠隔指示のダブルチェックがなかった
6)外来業務が終了し、帰宅せざるを得ず訪室ができなかったため、当直医に引き継ぐべきであった。
(2)薬剤部
1)病棟薬剤師:
・情報収集不足医師に疑義照会を行う前に、添付文書の確認のみを行い、患者背景や処方・注射オーダ状況等、治療経過を詳細に確認しなかった。情報伝達不足・DI室問合わせ時に、患者背景や使用目的を伝えず、リドカインシリンジを希釈して点滴投与して良いかだけを確認した。
・医師に投与本数、投与速度等の指示変更まで依頼しなかった(薬剤の規格・濃度・用法用量が異なる製品)。
・看護師に変更内容の詳細を伝えなかった。
・オーダ変更後の内容は確認していなかった。
2)DI担当薬剤師:情報収集不足問合せ内容の患者背景や使用目的を確認せず、変更後の薬剤について規格のみ提案し、用法用量についての具体的な情報提供が不足していた。
3)その他:オーダが成分量入力を前提としてない。リドカインの採用品目が2つあった。
【改善策】
(1)麻酔科
1)院内ルールの制定:鎮痛目的のリドカイン点滴治療は病棟で行わない。指示変更依頼が薬剤部や看護師からあった場合は医師が薬剤の濃度、禁忌等を改めて確認する。局所麻酔薬中毒の対処法を各病棟に周知しホームページ等に掲載する。リドカイン点滴静注用バッグの使用制限(処方科の限定、使用場所の限定、採用の見直し、ハイアラート薬の設定等)。
(2)薬剤部
2)病棟担当薬剤師:DI室問合せ時は、必ず患者背景、使用目的を伝える。医師に疑義照会・処方提案する際は、患者背景、使用目的を確認する。処方変更を依頼する際は、薬品名だけでなく用法・用量(点滴速度)まできちんと伝え、変更された内容を確認する。変更内容は変更背景も含め、看護師にも伝える。処方に違和感があった際は自己判断で解決せず、上司に相談する。
3)DI担当薬剤師:回答する際は患者背景、使用目的を確認する。特に適応外治療は情報が共有されていない事があり十分注意する。代替薬を提案する場合は、変更前の薬剤との相違点や注意点を共有する。
4)病院全体の取り組み:医薬品を適応外使用する際は、どの職種も6R(患者・薬剤・用量・経路・時間・目的)を意識した指示出し、指示確認、指示受けを徹底する。
5)システムに安全アラートを組み込む:
・リドカイン点滴静注薬処方の際は投与速度のアラートが赤字で出るようにする(もしくは決められた投与速度でないとオーダできないようにする)。
・リドカイン点滴静注薬処方は病名やコメントがないと処方できないようにする(もしくは循環器内科・心臓外科のオーダに限るように設定する)。
・リドカイン点滴静注液1%「タカタ」(2g/200mL)の使用は、原則ユニット、オペ室のみとする。一般病棟では何らかの使用制限をかける。
・抗がん剤レジメンのように、オーダをセット化することや、ハイアラート薬管理やシステム制限、在庫制限等、医薬品安全管理委員会等で詳細を検討する。事例発生後にハイアラート薬に指定し、ート管理、投与速度に注意の喚起を行った。
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