医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDA36B6B32383B648F5
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2021土曜日平日6:00〜7:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療死亡
事故の概要
その他 手術5日後の予期せぬ死亡
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
病室
形成外科
入院
1人
20歳代 (女性)
構音障害
疾患名顎変形症
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師34年1ヶ月31年0ヶ月0回交替勤務なし40
特に報告を求める事例発見者
本事例は選択肢には該当しない他職種者
当事者以外の関連職種(複数回答可)

事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
外部調査委員会設置(予定も含む)医療機器
事例概要
【実施した医療行為の目的】
骨格性不正咬合の治療
【事故の内容】
7ヶ月前、骨格性の不正咬合に対する手術目的で当院を紹介受診。今回手術目的で入院。入院3日目、手術当日、全身麻酔下で上顎骨を骨切りしチタンプレートで骨を固定。上顎骨処置を終了後に下顎骨を下顎枝矢状分割骨切りし、かみ合わせ位置を決めるプレートを用いて顎間固定し閉創。その後剥離した鼻腔粘膜が再び上顎骨へ再癒着するように左右の鼻腔内にバラマイシン軟膏に浸したタンポンガーゼを挿入し、頭部から下顎を包帯で保護し挿管されたまま帰室(手術時間4時間49分、出血量1017g、自己血4単位800ml返血)。
手術後1日目、抜管後に経鼻air wayを挿入し気道を確保。さらに、患者自身で咽頭部に貯留した唾液等の排泄物を自己吸引できるよう指導を行い、並行して経鼻胃管を介して栄養を開始。経鼻胃管の栄養とは別に経口飲水を行い離床を促した。
手術後2日目、本人より胸痛の訴えがあり心電図検査を実施。心電図検査の結果有意な異常所見は認められずそのまま経過観察となった。
手術後3日目、経管栄養の10割摂取を確認し点滴を終了。トイレ歩行も問題ないことから心電図やSPO2モニタを除去し4人床に移動となった。
手術後4日目、21時30分、看護師の巡視時に呼吸苦や異常の有無の訴えはなく、呼吸が安定していることを確認。酸素投与のない状態でSPO2が97%保持していることを確認し退室。23時30分、巡視時は既に眠っており状態で呼吸も安定していることを看護師が確認。
手術後5日目、2時30分、巡視時も入眠中で呼吸が安定していることを看護師が確認。7時00分、起床検温のために看護師が訪床したところ呼びかけに反応なく、呼吸、脈拍なし、血圧測定不能状態を発見。直ちに心臓マッサージを始め緊急対応チームをコール。緊急対応チーム到着後に蘇生を試みたが、すでに冷感および硬直を認めていたことから麻酔科医師にCPRは中止となった。その後死亡確認。死亡時画像検査を行い、検視が行われ、病理解剖が行われた。
【事故の背景要因の概要】
手術の適応には問題なく、同様の手術における合併症はなく術後経過も問題なかった。術後2日目の胸痛においても心拍数107回で洞性頻脈ではあるが、それ以外の心電図異常は認めない。死亡時画像診断を実施し、頭蓋内は出血や血腫なく胸部は広範なすりガラス影はあるものの、生前画像では認めていないことから心肺蘇生にともなう変化といえる。右鼻腔内のairway tubeが気道内より逸脱し、頸部皮下軟部領域に先端が位置している所見があるが、airway tubeは未固定で可動性があり、かつ蘇生時のバッグバルブマスクによる圧排で位置が変わったことも予測されている。一般的に呼吸状態が苦しい4日目を過ぎたあたりのことで、呼吸状態は比較的落ち着きをみせていたところといえる。また顎間固定がなされているとはいえ,口呼吸も可能な状態で、息苦しさを訴えてナースコールもなく呼吸停止に至ることは考えられない。さらに病理解剖の結果も蘇生行為による変化以外異常を示唆するものはなかった。
【改善策】
外部を招いた事故調査委員会で検討する予定。