医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDA2E13A34E5E542B6C
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2020土曜日休日・祝日14:00〜15:59
医療の実施の有無事故の程度
実施なし死亡
事故の概要発生場面 事故の内容
薬剤末梢静脈点滴その他の与薬に関する内容 抗菌薬によるアレルギーと考えられる
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
その他 西病棟B 3階
循環器内科
入院
1人
70歳代 (男性)
その他特記する心身状態あり 気分不快 呼吸困難
疾患名透析困難症
うっ血性心疾患
無症候性心筋虚血
慢性腎臓病
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師12年0ヶ月1年0ヶ月0回交替勤務なし54
2人 医師4年0ヶ月2年0ヶ月0回交替勤務なし65
3人 医師6年0ヶ月0年0ヶ月1回交替勤務なし60
4人 医師2年0ヶ月2年0ヶ月0回交替勤務なし50
5人 看護師3年0ヶ月1年0ヶ月0回2交替22
6人 看護師10年0ヶ月2年0ヶ月2回2交替30
特に報告を求める事例発見者薬剤・製剤の種類
本事例は選択肢には該当しない他職種者その他 セフトリアキソン
当事者以外の関連職種(複数回答可)
看護師
関連医薬品1
【販売名】 セフトリアキソンNa静注用1g
【製造販売業者】 ファイザー
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
既設の医療安全に関する委員会等で対応その他 抗菌薬投与直後に急変。要因なし
事例概要
【実施した医療行為の目的】
入院時のCTで肺炎の合併も指摘されており、冠動脈の治療を行うにあたり、少しでも状態をよくしてからの治療が望ましいため
【事故の内容】
15時54分セフトリアキソン初回投与開始。初回で有り、担当看護師はbedsideで状態を見守っていた。15時55分患者より「気持ち悪い」と訴えあり。血圧測定開始しようとするも顔面紅潮みられ、同病棟の看護師にナースコールで応援を要請。すぐに駆けつけ、Dr. call。医師到着時、顔面チアノーゼ、四肢チアノーゼあり、聴診器をあてずにstidor聴取した。その後、すぐに血圧低下、頚動脈触知困難と判断し、胸骨圧迫を開始された。その後、CPRを行いながら、ボスミンの投与を繰り返し行うも、ROSCせず。当院では初回の抗菌薬セフトリアキソンを投与直後に、嘔気、顔面紅潮、血圧低下を認め、数分以内に喘鳴やチアノーゼを伴い心停止に至った症例である。臨床症状と経過から、アナフィラキシーショックが疑われたが、診察途中で心停止となったため、ACLSに沿った心肺蘇生術が開始された。なお、死亡後に前医(透析施設)に問い合わせたところ 、前医によれば確認できる範囲でセフトリアキソンは過去に2度投与されており、いずれも症状は認めなかったとのことであった。また、当院でも抗菌薬使用歴はあるが、これまでに抗菌薬によるアレルギー反応は認めなかった。アドレナリンは合計11mg 投与された。点滴ルートはセフトリアキソンを投与した1本しかなかったため、最初の2回は筋肉内注射で行い、その後別の末梢ルートが確保できたため、アドレナリン静注に変更となった。しかし、アドレナリンを繰り返し投与しても自己心拍は再開しなかった。その原因について、科内および院内事例検証会で討論し、次のように考えられた。1つは、心疾患患者でβ遮断薬を投与していたことが、アドレナリンの効果を減弱した可能性が示唆された。次に、元々虚血性心疾患が疑われ、入院を予定していたこともあり、アナフィラキシーに伴うショックが心筋虚血や致死性不整脈を惹起して救命困難な状況に陥った可能性が考えられた。また透析直後で体内水分量が減少した状態であったこともアナフィラキシーに伴うショックからの離脱を困難にした可能性も考えられた。
【事故の背景要因の概要】
他院より透析困難、うっ血性心不全、虚血陽性で紹介なり、入院していた。冠動脈の造影検査および治療が予定されていたが、入院時のCTで肺炎の合併も指摘されており、冠動脈の治療を行うにあたり、少しでも状態をよくしてからの治療が望ましいため、3日前から肺炎に対して、セフトリアキソン投与が開始された。
【改善策】
事例検証会で本症例の振り返りを行った。アナフィラキシーが生じた際の治療手順はすでに院内プロトコールがあるため、それをプリント・ラミネートし、救急カートに配置することで、万が一治療手順や薬剤の投与方法が分からなくなった場合もすぐに確認できるようにした。循環器疾患患者はアナフィラキシーのハイリスクであることや、セフトリアキソンはアナフィラキシーを生じやすい薬剤であることを確認した。グルカゴンについては、特に循環器科では多くの患者でβ遮断薬を使用していることから、今後使用頻度は増えると思われる。現在保存場所などについて検討中である。