医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDA1B833AB74484E2DC
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2018水曜日平日14:00〜15:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療死亡
事故の概要発生場面 事故の内容
薬剤静脈注射その他の与薬に関する内容 薬剤アレルギー
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
放射線撮影室
泌尿器科
放射線科
外来
1人
50歳代 (男性)
疾患名アナフィラキシーショック
前立腺癌
拡張型心筋症
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師2年2ヶ月0年2ヶ月0回交替勤務なし45
特に報告を求める事例発見者薬剤・製剤の種類
本事例は選択肢には該当しない当事者本人その他 造影剤
当事者以外の関連職種(複数回答可)

関連医薬品1
【販売名】 イオメロン(350)
【製造販売業者】 エーザイ株式会社
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
外部調査委員会設置(予定も含む)患者側
その他 造影剤アレルギー
事例概要
【実施した医療行為の目的】
前立腺に対する化学療法中で、治療効果判定のために、造影CTを施行した直後にアナフィラキシーによるCPAとなった。
【事故の内容】
造影CT検査同意書に以前に造影剤投与後にかゆみが起こったとの記述があったため、患者本人に確認をとったが、いつのことかは不明であり、以前に造影剤を用いた検査を行った帰路で右手部の掻痒感を自覚したとのことであった。しばらくするとおさまったとのことであった。CTの造影剤による影響か不明であったこと、掻痒感が局所的であったこと、今までも当院で造影CTが行われていること、カルテ上は造影剤アレルギーを確認できなかったことから、今回は造影検査を施行することとした。造影剤投与時や検査時は症状の訴えなかったが、検査後しばらくして右手の掻痒感、わずかな嘔気の訴えあり、バイタルサイン測定。はじめは症状が軽微であったが、1分以内に増悪傾向を認めたためアナフィラキシーショックとして対応。SpO2が低下していたため酸素マスクで10L酸素投与。主科と救急に連絡。アドレナリン0.3mgを大腿外側に筋注。血圧測定できずルート確保し輸液を行った。はじめは橈骨動脈触知可能であったが、ルート確保の段階では触れず、心マを開始した。意識レベル低下し、舌根沈下を認めたため下顎挙上、挿管を行い、アドレナリン投与を行うが効果なく、ECMO導入を行い、ICUに入室した。循環動態が維持できず、造影剤投与から5時間後に死亡に至った。
【事故の背景要因の概要】
以前の造影検査後に起こったという右手の掻痒感をアレルギー症状が疑わしい症状を認めていた。もともと拡張型心筋症があり、心機能が悪かった。
【改善策】
以前の造影検査後の右手の掻痒感をもっと重篤にとらえていれば造影検査を施行しない可能性もあったが、やや現実的ではないと思われる(造影剤過敏症として対応していても、症状が軽微であったことから検査を施行した可能性が高い)。造影検査をオーダーする際に過敏症や喘息歴の有無により注意をすること、造影検査のオーダーに慎重になる意識を持つ必要がある。