医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDA1A34EE12AD292833
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2022木曜日平日10:00〜11:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療死亡
事故の概要発生場面 事故の内容
検査実施中その他の検査の実施に関する内容 造影剤アナフィラキシーショックの疑い
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
放射線撮影室
循環器内科
放射線科
外来
1人
70歳代 (男性)
意識障害
下肢障害
疾患名末梢動脈疾患
慢性腎不全(透析週3回)
右重症下肢虚血
2型糖尿病
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 診療放射線技師10年11ヶ月3年11ヶ月0回交替勤務なし39
2人 医師8年11ヶ月1年11ヶ月1回その他 当直制39
特に報告を求める事例発見者検査の種類
本事例は選択肢には該当しない当事者本人CT
当事者以外の関連職種(複数回答可)
医師
看護師
診療放射線技師
医療機器等1
【販売名】 該当なし
【製造販売業者】 該当なし
【製造年月】 該当なし
【購入年月】 該当なし
【直近の保守・点検年月】 該当なし
医療材料・諸物品等1
【販売名】 該当なし
【製造販売業者】 該当なし
【購入年月】 該当なし
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
既設の医療安全に関する委員会等で対応記録などに不備があった
知識が不足していた
医薬品
患者側
仕組み
事例概要
【実施した医療行為の目的】
骨盤下肢造影CT撮影後、造影ルートを抜去直後に上肢の震え、嘔気が出現した。その後、意識レベルが低下し心肺停止となった。
【事故の内容】
1.○月24日10時9分、末梢動脈疾患の精査のために骨盤下肢造影CT(イオパミドール370注シリンジ「F」100mlを使用)を行った。
2.造影CTが終了し、看護師が造影剤ルートを抜去した。
3.抜去直後に両上肢の震えが出現した。この時には意識があった。
4.嘔気が出現し意識レベルが低下した。
5.10時11分、放射線技師が放射線科医師に連絡した。血圧測定を行ったが測定できず。
6.放射線科到着時は橈骨動脈が触れていた。モニターを装着したがモニターの値が出ず、再度放射線科医師が橈骨動脈を蝕知したが触れず。頸動脈も触れなかったため、胸骨圧迫を開始した。
7.10時15分、放射線科医師によりアドレナリン0.5ml筋肉注射する。
8.10時18分、院内緊急コールで救命科医師に連絡する。初期波形はPEAであった。
9.アドレナリン1ml静脈注射後、初療室へ移動する。
10.ACLSアルゴリズムに従い診療開始する。2回目のアドレナリン施行後、心拍再開する。気管内挿管し、シースを挿入、CV挿入、昇圧剤を開始する。
11.頭部単純CT、胸腹部単純CTを施行後、12時45分救命病棟へ入院となる。
12.12時47分、CHD開始する。
13.救命病棟入室後、意識レベル改善し、意思疎通が図れるようになるも、翌日、血圧が徐々に低下し、死亡診定となる。
【事故の背景要因の概要】
1.患者は1ヶ月前に30分程度の胸痛があり、救急搬送された。
2.すぐに冠動脈造影を行おうとしたが、電子カルテの医療安全確保情報の中に4年前に造影CT撮影後、嘔吐、意識消失という記載をみて前投薬をしてからの冠動脈撮影が望ましいと考え、4日後冠動脈造影を計画した。
3.しかし、過去当院で行った冠動脈造影(3回)、末梢血管形成術(5回)、アブレーション(1回)で造影剤を使用しているが前投薬を使用していなくてもアレルギーがないこと、また以前のCT撮影でも一過性の嘔吐のみでアレルギーではないものと判断し、冠動脈造影を行った。その際、アレルギー症状はなかった。
4.この入院時に患者は間欠的跛行の症状があり、下肢動脈の精査を希望したため、血圧脈波検査(ABI)を行い、退院後、骨盤下肢造影CTを計画した。
5.ヨード造影剤使用説明は入院中に主治医が患者本人に行った。
6.主治医は骨盤下肢造影CTをオーダする際に、今年に入っても、前投薬なしで造影剤を使用しても特に問題がなかったこと、造影剤アレルギーとは考えていない旨を特別指示にコメントした。必要であれば主治医をコールする旨も記載した。
7.造影剤アレルギーを疑われる患者が造影CTを行う際には、医師の立ち合いをおこなうように放射線科から主治医に連絡している。しかし、この症例は造影剤アレルギーとは考えていなかったため、主治医の立ち合いはなかった。
8.急変時、主治医の立ち会いはなかったがCT室に他科の医師がおり、蘇生処置はすぐに行えた。
9.今回の事例が造影剤のアナフィラキシーショックであるのか明らかではない。急変後、原因の全身検索を行ったが、原因病変は明らかではなかった。
10.造影剤アレルギーを疑う患者すべてにステロイドなどの前投薬は行っていない。医師により見解が違う。
11.電子カルテの医療安全情報に造影剤禁忌を記入する人が誰なのか明確になっていない。またどのような症状の時に記載すべきなのか明確になっていない。
12.以前、造影CT後に嘔吐や意識消失などの症状が出たときの診療録・看護記録には造影剤でのアレルギーを疑うような記載はなかった。そのため、アレルギーではないと判断した。
【改善策】
1.造影剤アレルギーまたアレルギーに準ずる症状が出現したときは電子カルテの医療安全情報の造影剤禁忌に日付と症状を記載する。
2.医療安全情報の記載は、その際造影CTに立ち会った放射線科のスタッフが記入する。
3.造影剤アレルギーまたアレルギーに準ずる症状が出現したときは主治医と情報共有する。
4.電子カルテの医療安全情報の造影剤禁忌に記載している患者の造影CTを行う場合は、基本的にオーダした医師が検査に立ち会う(前日に放射線科から主治医に連絡を入れる)。