医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDA0E1E46E5E7884C63
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2020土曜日休日・祝日10:00〜11:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療死亡
事故の概要発生場面 事故の内容
治療・処置実施方法(手技)の誤り
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
透析室
泌尿器科
放射線科
入院
1人
60歳代 (女性)
疾患名慢性腎不全
下肢閉塞性動脈硬化症
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師2年10ヶ月0年10ヶ月1回交替勤務なし52
特に報告を求める事例発見者治療・処置の種類
本事例は選択肢には該当しない当事者本人血液浄化用カテーテル
当事者以外の関連職種(複数回答可)
看護師
臨床工学技士
医療材料・諸物品等1
【販売名】 バスキャスカテーテル ナイアガラスリム ストレート 15mm
【製造販売業者】 株式会社メディコン
【購入年月】 不明
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
既設の医療安全に関する委員会等で対応判断を誤った
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
事例概要
【実施した医療行為の目的】
透析シャントの閉塞のためバスキャス挿入。
【事故の内容】
透析当日、透析室に入室するがシャント音が聞こえないと連絡あり医師にてシャントの閉塞を確認、主科での対応が困難であり、透析室にて左内頸静脈よりエコー下でバスキャスを挿入した。レントゲン撮影で位置を確認し透析は午後からの予定とした。一旦病棟に帰室、昼食を摂取していたところ視野不良を訴えられた。CT室に出室するが、撮影終了時に呼びかけに反応なくレベル低下認めた。JCS=200、動脈触知可能、HR=80台、SpO2=100%。MR室へ出室し病棟へ帰室、モニタリング開始となる。モニタ上Af、BP=70〜80/mmHg、JCS=100〜200。
CT・MRにて陳旧性脳梗塞と両側MCA(中大脳動脈)領域に散在する急性期脳梗塞を認めた。と同時にバスキャスが左総頸動脈に入っていることが判明した。バスキャスの抜去方法について心臓血管外科と脳外科 に相談しカテーテルは直視下で抜去の方針となる。
翌日、心臓血管外科、脳神経外科にて頚動脈修復術施行、術後ICU入室した。ICUから病棟に転棟し加療されていたが、脳浮腫が増拡大し呼吸状態不良となり、死亡退院された。
【事故の背景要因の概要】
・動脈穿刺により緊急手術・カテーテル抜去・頸動脈修復術を要したものの、誤穿刺自体と脳梗塞との因果関係までは不明。
・誤穿刺については、実施医の知識・技術・経験不足が関係していると思われる。10例程度の経験があるが熟練した医師に比べるとトラブルが起こりやすかった可能性はある。穿刺部位も本来なら右内頚静脈穿刺のほうが静脈損傷等のリスクも考慮すると望ましく、実施医も右内頚静脈のほうが経験は多かった。透析患者は過去のカテーテル留置経験から血栓形成しやすく、右内頚静脈内腔を確認できないことがしばしばある。その場合は左内頚静もやむを得ないが、血管の走行等、左右の違いを十分理解しておく必要がある。
・また、穿刺中患者の協力が得られず、静止困難であったことや収縮血圧が60mmHgと低値であり、穿刺後の確認が難しかった誤穿刺・誤留置の一因となった可能性がある。
【改善策】
・土曜日の透析当番で主科での対応も困難であったという状況ではあったが、処置に自信がなければ指導医や他科の当直医に応援を要請する。
・ガイドワイヤー挿入後もエコーで確認後にバスキャスを挿入する(誤穿刺していてもカテーテル留置に至らなかった)。
・カテーテル留置後のポータブルレントゲンで確認するが、カテーテルの走行を十分確認する。