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医療事故情報
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公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
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| 報告年 | 発生曜日 | 曜日区分 | 発生時間帯 |
| 2022 | 水曜日 | 平日 | 10:00〜11:59 |
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| 医療の実施の有無 | 事故の治療の程度 | 事故の程度 |
| 実施あり | 濃厚な治療 | 死亡 |
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| 事故の概要 | 発生場面 |
事故の内容
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| 治療・処置 | 管理 | 治療・処置の管理 |
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| 発生場所(複数回答可) | 関連診療科(複数回答可) | 患者の数 | 直前の患者の状態(複数回答可) |
病室
| 産婦人科
| 入院
1人
20歳代
(女性)
| 意識障害
床上安静
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| 疾患名 | 性器不正出血
| うつ病
| 左中大脳動脈狭窄・両側前大脳動脈閉塞
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| 当事者 | 当事者職種 | 職種経験 | 当事者部署配属期間 | 直前1週間の
当直・夜勤回数 | 勤務形態 | 直前1週間
の勤務時間 | 専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格 |
| 1人
| 医師 | 25年7ヶ月 | 4年7ヶ月 | 1回 | その他 当直制 | 39 | 産婦人科専門医 |
| 2人
| 看護師 | 2年7ヶ月 | 2年7ヶ月 | 1回 | 2交替 | 39 | |
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| 特に報告を求める事例 | 発見者 | 治療・処置の種類 |
| 本事例は選択肢には該当しない | 他職種者 | その他の治療 転院搬送後経過観察 |
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| 当事者以外の関連職種(複数回答可) |
医師
看護師
臨床工学技士
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医療材料・諸物品等1 |
【販売名】 該当なし
【製造販売業者】 該当なし
【購入年月】 該当なし
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| 事故調査委員会設置の有無 | 発生要因(複数回答可) |
| 内部調査委員会設置(予定も含む) | 観察を怠った
報告が遅れた(怠った)
連携ができていなかった
判断を誤った
知識が不足していた
患者側
教育・訓練
仕組み
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| 事例概要 |
【実施した医療行為の目的】
近医より不正出血にて転院し、経過をみていたところ転院後2日目に死亡した
【事故の内容】
転院当日9時頃、当院脳神経外科かかりつけにて当院産婦人科へ転院依頼あり。
同日10時40分、救急車にて当院到着する。婦人科外来で診察を行う。病院到着時BP104/80、HR128、SpO2:99%(RA)、GCS:E3V3M5、発語ほとんどなし。会釈のみ。構音障害、右視覚障害、右上肢動作不十分である。MMT右>左。LAMP検査、モニター装着する。出血量は月経量過多ぐらいの量であった。
10時55分、末梢静脈からの血液採取困難にて右橈骨動脈より動脈採血を行った。前医からの細胞外液の残量が300mL程度であり、100mL/hで投与するよう医師が看護師に指示をした。13時からは細胞外液500mLを50mL/hで投与の指示を出した。
13時28分、一般病棟へストレッチャーで入院する。血液検査(血算、生化学、凝固)の指示あり。看護師が採血を行い、検査科へ提出する。その後(時間未定)、検査科より病棟看護師に血算、凝固の検体が凝固しており検査不能と連絡を受ける。
16時7分、性器出血あり。パットに付着程度、コアグラ少量認める。BP115/87、HR133。産婦人科医師が部屋を訪室し、患者の状態観察を行う。その際、患者は布団を蹴飛ばしており、オムツを露出した状態で就寝していた。
16時56分、血算、凝固の検体が凝固しており検査不能と連絡を受けるたことを看護師が医師に報告すると再検査は不要と返答あり。
18時41分、意識レベル低下あり。指示動作応じず、応答ないが体動あり。BP148/98。産婦人科医師に看護師が状態報告し、検査や輸液を追加するが確認する。しかし、本日中は特に処置をせず、経過観察と医師より指示あり。その際、産婦人科医師は患者の部屋を訪室し、患者の状態は観察した。看護師は状態が不安定であると判断し、モニターの装着を行った。
コアグラ少量の出血があり。19時43分、看護師が訪室すると患者が「今は大丈夫」と発語あり(GCS:E4V5M6)オムツ内確認するとパットに付着程度。
20時前、意識レベル悪く(GCS:E1V1M2)食事、内服できないため、看護師が産婦人科医師に報告する。医師より内服は中止と指示と指示あり。
21時22分、意識レベル(GCS:E4V5M6)、意識レベルにむらあり。同日22時57分、オムツ内にコアグラ6cm大あり。
転院後1日目0時頃、点滴ロックの指示あり。末梢ルートをロックする。
5時30分、看護師が訪室すると意識レベル低下(E1V1M2)認め、血圧測定を行う。BP150/104。不正出血パットに付着程度、コアグラ少量あり。
7時41分、看護師から産婦人科医師に朝方より頻脈、頻呼吸、意識レベルの低下がみられること、出血量はコアグラが多く、適宜オムツとパットを交換していることを報告し、診察を依頼する。産婦人科医師が患者を診察する。採血や補液の指示を医師に確認すると「うつ病からくるものなので採血、補液はしない」と返答あり。
9時3分、頻呼吸あり。産婦人科医師に連絡する。呼吸数48回/分、HR170台持続、SpO2:60台、意識レベルGCS:E1V1M1にて酸素5L開始する。
9時10分、BP104/76。産婦人科医師来棟する。
9時12分、ロックされた末梢ルートより細胞外液投与開始したが自然滴下認めず。
9時15分、血管確保ができないため、救命科医師に連絡する。救命科医師、JNP来棟し、血管確保試みるもできず、9時38分救命センター長の判断で初療室に移動する。
初療入室後、右鎖骨下静脈よりCV挿入する。
10時、気管内挿管施行する。
10時10分心肺停止を確認し、心肺蘇生開始する。
10時45分心拍再開するも、11時16分心電図波形PEAにて胸骨圧迫開始する。
11時25分心拍再開する。11時42分PCPS開始する。
12時04分、頭部CT、胸腹部CT施行する。頭部CTにて低酸素脳症の所見あり。胸腹部CTは明らかにショックに至る病変なし。
14時45分、救命病棟へ入室する。
転院後2日目、徐々に血圧低下し、PCPSのフロー保てず、その後死亡確認となる。
【事故の背景要因の概要】
1.患者は、転院5日前、夜用のナプキンも全く間に合わない状態の多量の性器出血あるも、自宅で様子を見ていた。
2.転院2日前19時頃、トイレ歩行した際に意識消失し、産婦人科のある病院に救急搬送される。ストレッチャーにしみるほどの性器出血ありその際、肥満(160cm、103kg)などによる機能性出血(破綻出血)に抗血小板薬(タケルダ配合錠)作用が重なったのではないかと考えられ、薬剤掻把目的にてエストロゲン、プロゲステロン製剤の筋肉注射を行っている。
3.転院前日、Hb6.6へ低下し、RBC4単位施行している。24時間の出血量1700g超であった。
4.脳神経外科で左中大脳動脈狭窄・両側前大脳動脈閉塞の経過を診ていたため、前医より連絡があり、転院となった。転院時産婦人科医師は状態が安定した中での転院であると判断した。
5.患者が転院されてきたことを脳神経外科医師に電話連絡したが、その後診察を行ったのか確認していない。また脳神経外科医師も診察をしていたが記録に残していない。
6.転院後、患者を外来で診察した際にオムツ内の出血を確認し、出血が増加傾向でない印象を受けた。また患者は発語はほとんどなく、家族を交えて問診した際に「昨夕より携帯電話で連絡が取れなかった」というのを聞き、うつ病による症状であると判断した。
7.入院病棟は(入院病棟を決めている)外来師長に入院をお願いした。一般病棟でもいいと判断していた。
8.転院後、採血を行ったが血算、凝固が検査不能となり生化学の結果しかでなかったが、前医の朝の採血結果(RBC252万、Hb7.4、WBC16900 )があったこと、またクロスマッチ用の検体は確保したこと、出血が増加すれば再度採血すればよいと考え、再検査は不要と考えた。
9.転院当日18時41分に看護師より患者の状態の報告を受け、患者の部屋を訪室したが、入院時の状態と変化がないと判断した。そのため、看護師に本日中には特に処置などしないことを伝えた。
10.不正出血に関して一般的な治療は、鉄剤の内服もしくは点滴静注、月経を止める目的でホルモン剤内服、輸血、緊急手術による子宮内膜掻把術がある。患者は前医でエストロゲン、プロゲステロン製剤の筋肉注射、輸血を行っており、それでも止まらなければ緊急手術による子宮内膜掻把術を考えるべきであった。
11.看護師は患者が意識レベルのむらがあり、転院当日夜勤に入り産婦人科医師に2回報告したが、経過観察の指示を受け、夜間様子を見ていた。翌日の当直医は産婦人科医師だった。
12.看護師はRRSは要請しなかった。当院のRRSは夜間外科系は当直医が受けることになっている。そのため、RRSを要請すると産婦人科医師になることから連絡はしなかった。
13.看護師は適宜、出血の状態を観察していたが、出血量は測定されていなかった。
【改善策】
1.患者の状態を観察し、患者の状態から必要な検査を行う(今回の場合は、不正出血はまだ続いていたため、再度採血を行って貧血の状態などを再評価する、意識レベルについては他に原因がないか調べる)。
2.救急車で転院した事例は救命病棟やICU等への入院を考慮する。判断に困るときは他のスタッフと相談する。
3.出血が継続しているときは、量の測定を行う。
4.病状について当科だけで判断できないときは、症状から考えられる診療科に相談する。また相談したら結果を確認する。
5.看護師は患者の状態で変化を生じたとき、疑問があるときには医師に逐一報告する。
6.RRS体制を再考する。主科が当直の際、他の医師にも相談できるようにする。
7.診察を行ったときは記録を行う。
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