医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDAE0602E9E439B4426
報告年発生曜日曜日区分発生時間帯
2013土曜日休日・祝日12:00〜13:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療死亡
事故の概要発生場面 事故の内容
検査実施中その他の検査の実施に関する内容 結果の判断間違い
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
救命救急センター
病室
循環器内科
循環器外科
眼科
入院
1人
70歳代 (女性)
視覚障害
疾患名心筋梗塞  心室中隔穿孔
緑内障
糖尿病
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師7年1ヶ月3年1ヶ月1回その他 当直制50眼科専門医
特に報告を求める事例発見者検査の種類
本事例は選択肢には該当しない他職種者心電図検査
当事者以外の関連職種(複数回答可)
医師
看護師
医療機器等1
【販売名】 なし
【製造販売業者】 なし
【製造年月】 なし
【購入年月】 なし
【直近の保守・点検年月】 なし
医療材料・諸物品等1
【販売名】 なし
【製造販売業者】 なし
【購入年月】 なし
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
既設の医療安全に関する委員会等で対応確認を怠った
判断を誤った
知識が不足していた
仕組み
事例概要
【実施した医療行為の目的】
緑内障手術目的入院。緑内障濾過手術。
【事故の内容】
術前検査(採血、心電図、胸写)を施行。入院・手術準備の時点で心電図にて心筋梗塞の疑いありとのコメントおよび異常を気付いた。しかし、採血上は心筋逸脱酵素の上昇は認めず、入院時、患者本人に、ここ最近の胸痛の自覚症状などを確認し異常はなかったため、入院翌日、末期緑内障に対し予定通り局所麻酔下で約1時間の緑内障濾過手術を行った。術中は特にバイタルの変動はなかった。術当日、夜間せん妄様の症状を認めた。術後1日目、息子に説明を求められ、外来にて現在の視野の状態、手術内容、昨日の夜間せん妄があったことを説明した。術後2日目、自力での車椅子移動は可能であり診察室にて診察を行った。午後、発熱があるとの連絡があったが、術後の抗生物質を内服しているため、まずはクーリングにて経過観察を指示した。術後3日目、訪室時、努力様に呼吸、自力での車椅子移動が困難になっていたことから、採血、心電図、胸部Xpを行い、採血で炎症反応の上昇、胸部XPで肺炎、心不全と判断し、呼吸器内科、循環器内科にコンサルトした。心エコーにて心室中隔穿孔と診断され、救命センターCCUに搬入となった。さらに心臓カテーテル検査を行い、心室中隔破裂および冠動脈3枝病変を認められたため、同日、心臓血管外科にて心室中隔破裂に対する閉鎖術および冠動脈形成術を施行された。術後は心臓血管外科ICU、救命CCUにて全身管理され、この期間に2度娘に眼の手術後の説明および全身状態の回復を期待しますとの会話を行っていた。1ヵ月後、全身状態悪化し、家族から眼科の説明を求められ、眼科執刀医が説明を行った。長男の「術前検査は十分に出来ていたのか?」の問いに対し「心電図異常を認めたが、眼の手術は約1時間の局所麻酔手術で基礎疾患があっても問題なく受けることが出来る手術であるため、問題ないと判断し、眼を優先して手術を行った。手術中、術後も問題なく経過していたが、3日目に今回のイベントが起こってしまったが、予測は出来なかった。」と答えた。その後、状態改善せず死亡に至った。
【事故の背景要因の概要】
・術前に行った心電図検査の異常所見に対し、手術までに循環器コンサルトを行わず、前日に患者の診察のみで手術可能と判断した。以前から実施している対策で、近医内科に通院中の場合は、手術の可否および周術期の留意点を診療情報提供書で確認している。
→2年前の手術時は確認したが、今回は確認していなかった。
・検査オーダー医は4月から当院に赴任したばかりで、術前検査チェックは再診させて外来で行うシステムという説明(オリエンテーション)を十分に行われていなかった。
・術直前(手術前日)に検査結果の確認となった。
・入院中の患者の状態を家族に説明する際、いつも娘が付き添っていたので、キーパーソンは娘だと思っていた。
【改善策】
・改善案:心電図異常などあれば、術前に必ず他科コンサルトを行い、近医かかりつけ内科に情報提供を求める。
・新任者、異動者へのオリエンテーションを確実に行い、術前検査の確認漏れをなくすシステムを機能させる。
・電子カルテ上の心電図検査の結果の示し方を変更(所見解析部分が初画面へ)