医療事故情報

公益財団法人日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業

事例IDAA29F56186C840C3F
発生年発生月発生曜日曜日区分発生時間帯
非公開非公開月曜日平日20:00〜21:59
医療の実施の有無事故の治療の程度事故の程度
実施あり濃厚な治療障害残存の可能性がある(高い)
事故の概要発生場面 事故の内容
治療・処置実施方法(手技)の誤り
発生場所(複数回答可)関連診療科(複数回答可)患者の数直前の患者の状態(複数回答可)
手術室
泌尿器科
入院
1人
50歳代 (男性)
麻酔中・麻酔前後
疾患名左腎細胞癌
当事者当事者職種職種経験当事者部署配属期間直前1週間の
当直・夜勤回数
勤務形態直前1週間
の勤務時間
専門医・認定医及びその他の
医療従事者の専門・認定資格
1人 医師19年0ヶ月06年6ヶ月1回交替勤務なし64泌尿器腹腔鏡技術認定
特に報告を求める事例発見者治療・処置の種類
本事例は選択肢には該当しない当事者本人鏡視下手術
当事者以外の関連職種(複数回答可)
医師
看護師
医療材料・諸物品等1
【販売名】 該当なし
【製造販売業者】 該当なし
【購入年月】 該当なし
事故調査委員会設置の有無発生要因(複数回答可)
既設の医療安全に関する委員会等で対応確認を怠った
判断を誤った
技術・手技が未熟だった
事例概要
【実施した医療行為の目的】
左腎細胞癌のため、腹腔鏡下左腎摘出術を実施した。
【事故の内容】
患者は検診にて左腎腫瘍を指摘され、手術目的にて入院し、腹腔鏡下にて左腎摘出術の予定となった。腹腔鏡下による手術操作にあたって、左腎静脈の剥離後、その頭側に平行に走る動脈を左腎動脈と認識し(後に右腎動脈と判明)切断した。切断後、左腎静脈の血行遮断を行ったところ、同静脈の鬱血を認めたため、もう1本腎動脈がある可能性を考え、先に切断した動脈のさらに頭側に位置する動脈を剥離し切断した(後に上腸間膜動脈と判明)。その後、左腎全体の剥離を進めたところ、本来の左腎動脈の存在に気づき、その動脈周囲からの出血をも認めるに至り開腹術に移行し、左腎摘出術を施行した。
誤って遮断・切断した右腎動脈と上腸間膜動脈は、血管吻合にて再建し、吻合後には血流再開を確認している。術後経過において播種性血管内凝固(DIC)の病態を併発、右腎臓の存在がDICをさらに悪化させる原因であると判断し、右腎臓の機能不全を確認して摘出術を実施した。その1週間後に腹腔内出血を認め、緊急手術を施行したが明らかな出血源は特定できなかった。
その約10日後再び腹腔内出血を認めたため、造影CTにより出血部位の検索を行った。その結果、上腸間膜動脈吻合部近傍の仮性動脈瘤からの出血が疑われた。出血部位及び患者の一般状態から保存的加療を選択した。
その後、呼吸不全、腎不全、肝機能障害、感染症などの合併症を併発しているが、人工呼吸器による呼吸管理、透析、経管栄養、抗菌剤投与などにより、対応・治療している。
【事故の背景要因の概要】
腹部大動脈左側の剥離操作の際に左後腹膜腔内臓器を残さないように剥離面を意識しすぎた。そのため大動静脈間まで剥離手術
を行ったことを術中認識できていなかったため、誤った動脈を遮断し切断した。
【改善策】
1.背筋群を直視下に確認し、背側に位置する動脈であるという確認操作を最初に行うべきであった。
2.泌尿器科における腹腔鏡下手術は事故後直ちに中止するとともに、その他の診療科における腹腔鏡下手術においても十分な注意を払い実施するよう指示した。